出身:葛尾村
葛尾村の特性を活かした地域づくりをしていきたい
震度8クラスの地震が必ず起きると考えていた
震災前から私は葛尾村の村議会議員として活動をしています。震災のあった一年前までは消防士として浪江町や葛尾村の消防署に37年間勤め、その傍らで兼業農家としてコメの栽培や乳牛の飼育なども行っていました。
震災当日は田村市まで買い物に行った帰りで、軽トラックを運転中に激しい揺れに襲われ、最初「タイヤがパンクしたかな?」くらいに思ってたら周りの人たちが地面に伏せていたり、電柱がグラグラ揺れているのを見て地震だと確信し、「やっぱり来たか」と思いました。なぜなら、私は消防士時代に6年くらい防火管理者として地震対策を勉強していたので、震度8クラスの地震が必ず起きると考えていたからです。さらに地域柄原子力災害の訓練も受けていたので原発も危ないと思い、当日夕方には息子が住んでいた福島市まで家族9人で避難しました。息子宅には同年7月までお世話になり、三春町に出来た斉藤里内仮設住宅に入居後、葛尾村の一部避難指示が解除された2016年の8月に自宅に戻りました。
山つつじと言えば葛尾!
村議会議員になる前から私が言っていることでもあるのですが、私が産まれた葛尾村は豊かな自然が自慢です。村内には素晴らしい景観が広がるカタクリの群生地や村の花と指定されている「山つつじ」が咲く場所が沢山あるんです。だけど、それらをPRするだけの力を持っていないし、観光地化するという考えにまで至っていないので、村の中心地に豊かな自然を一望できるようなスポットを整備し、村外の人たちに「山つつじと言えば葛尾!」と思ってもらえるような場所を作っていけるよう、議会で発案し続けたいと思っています。
また、農業にも力を入れており、震災前は2町2反の土地でコメ作りをしていました。現在はフレコンバッグの仮置き場として提供している田んぼがほとんどなので、3反5畝のわずかな土地で稲作を続けている状態なのですが、震災後2度ほど大阪で講演会を行った際、私が作ったコメをおにぎりにして試食してもらい、みなさんから「美味しい」と好評で、現地のコメ問屋3~4社ほどが共同でコメを購入してくれたんですよ。将来的には千俵くらい作って欲しいと言われているので、今後はもっと稲作に力を入れていきます。
また、震災前に植樹した林檎の木と梅の木にもやっと実が付くようになりました。この果実を加工し、村の特産品として売り出していこうと考えているので、今後の成長が楽しみです。
文/写真:S/T
浪江町
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