松本まつもと 清二郎せいじろう さん 武子たけこ さん | 葛尾村

松本まつもと 清二郎せいじろう さん 武子たけこ さん | 葛尾村

葛尾村出身
清二郎さん92歳 武子さん90歳

体が動く限り 葛尾で農業を続けることが生き甲斐

オラとじいちゃんは葛尾村で生まれ、震災当時まで米やインゲン、加工用のきゅうりを出荷する百姓をして生活してたんだよ。震災当日は孫が二人目のひ孫を産んだばし(出産したばかり)で、わげ(実家)に里帰りしていたところで、大きい揺れがあったときオラはこたつの中さ隠れて、じいちゃんと孫はひ孫を抱いて庭さ逃げました。

葛尾村に避難指示が出たのは3月13日の夜で、あづま総合運動公園さ避難したあと、東京の息子宅や埼玉県の親類にお世話になったりしながら、2011年の9月に三春の浮貝にできた仮設住宅さ越してきたんだ。

避難中はどこさ行ってもみなさんに親切にしてもらい、親類と東京スカイツリーや浅草、桜の名所なんかに連れてってもらって、毎日楽しく過ごせたからいがったぞい。三春さ引っ越してからは近所の農家さんの畑仕事や田んぼのてづない(手伝い)もやったべし、仮設住宅さ出来た集会所でみんなしてあずばって(集まって)ペーパークラフトの籠こさえだり(作ったり)、体操や、散歩もしてたからちっとも退屈しないでいらっちゃよ。んだがら(だから)、楽しいごとうんと(沢山)あったがら、悲しいって思ったこどなんてなくて、お世話になったみなさんへ感謝の気持ちでいっぺえ(いっぱい)なんだっけ。

浮貝の仮設住宅もみんな葛尾に帰ったりほがさ家建てたりしてオラげどあと一軒しか住んでねえんだげんちょ(住んでいないのですが)、オラもやっと葛尾に家が出来て今年の10月に帰ることになったんだよ。んだがら、先に帰った葛尾の友達とまたあづばって浮貝の集会所のときみだぐうんとしゃべったりして遊んでらっちゃら(遊んでいられたら)いいない。ほんで、また震災前みだぐ百姓やってみんなさオラとじいちゃんがこさえた野菜くれでやっちぇない(野菜を配りたい)。

オラは生まれでからずっと葛尾さ住んでだがら、まだ戻らっちぇ(戻られて)うんと嬉しいんだよ。90歳になったがら体がうんとこわい(疲れる)けど、体が動くまで葛尾で百姓続けるのがオラの生き甲斐なんだ。

2017年9月取材
文/写真:S/T

浪江町