『双葉郡未来会議』は「知る」「見る」「繋がる」という3つのコンセプトのもと活動を展開しています。
2018年7月14日、川内村名誉村民の詩人・故 草野心平さんを偲ぶ行事「天山まつり」の開催日に合わせ、川内村視察を実施しました。同村は東日本大震災に伴う原発事故により、一度は全村避難しましたが、2012年1月に「戻れる人から戻ろう」と帰村を宣言。以降は震災復興の最前線として注目された村です。
初めに訪れた阿武隈民芸館では、同館管理人の志賀風夏さんから、草野心平さんの経歴や人物像などの説明を受けました。
天山文庫の庭園では天山まつりが開かれており、心平さんの詩の朗読や、村の伝統芸能である三匹獅子舞などが披露されました。三匹獅子舞は、以前は農家の長男だけに継承されていましたが、少子化と原発避難によって後継者不足に拍車がかかり、現在では長男以外の男の子、女の子にも継承しているそうです。
天山まつりを体験した後は、川内村役場に勤務する西山恭司さんから震災当時の村の話を聞きました。原発事故直後は富岡町の住民が川内村に避難したため、食事や寝床の用意などできる限りの対応をされたそうです。昼食には、村の婦人会お手製の山菜料理やいわなの塩焼きなどが入ったお弁当をいただきました。
村の観光を担ういわなの郷では、この時期にしか食べられないイワナの刺身を試食しました。見た目はサーモンのようですが、味はさっぱりしていて、ほんのりと甘味があるとても上品な味でした。また、いわなの郷の職員の関孝男さんのお話も伺いました。川内村はかつて炭焼きの生産量日本一になったこともある木炭の産地で、いわなの郷の地名は「炭焼き場」。関さんは現在廃れかけている村の炭焼きを再興しようと活動しています。
その後、モリアオガエルの繁殖地である平伏沼を訪れました。モリアオガエルは、梅雨入りから10日程で水辺の木枝に泡状の卵塊を産みます。私たちが訪れた時にも、沼の周囲には木々に産み付けられた卵塊がありました。
最後に、Café Amazon(カフェ・アメィゾン)で一息つきながら振り返りをしました。川内村は帰村が早かったおかげか、震災の生々しい跡は今回の視察では見受けられませんでした。むしろ圧倒的な自然の美しさと里山の豊かさがありました。しかし震災以降、少子化や担い手不足により、今までできていたことができなくなる不自由さも存在することがわかりました。失っていくものと、これから先にずっと残したいもの。よりよい明日のために奮闘する人たちと出会えた今回の視察でした。
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