相馬野馬追8年ぶりの浪江からの出陣!

相馬野馬追8年ぶりの浪江からの出陣!

2018年7月、8年ぶりに相馬野馬追が開催されました。参加した小林直樹さん(浪江町)よりご寄稿いただきました。

「将門、関八州を領してより、下総国葛飾郡小金ヶ原に馬を放ち、年々春夏秋二度も三度も、八カ国の兵を集め、甲冑を帯し、大群を学び、野馬を敵となして、軍法備えの次第、駆引の自由、馬上の達者、機変自在の動きを試む」相家故事秘要集に見える、相馬野馬追の起源です。一千有余年の歴史を誇り、天明・天保の大飢饉や東日本大震災及び福島第一原子力発電所の事故を乗り越え、紡がれてきた相馬野馬追が今年も勇壮に開催されました。

標葉郷からのご出陣!

そして今年は、標葉郷(浪江町、双葉町及び大熊町)の騎馬武者56騎が、東日本大震災後初めて浪江町内でのお行列を再開し、その勇姿を再び拝見することができました。
7月28日は浪江町の中央公園を出陣後、JR浪江駅前、新町通りを経由して商工会館前までをお行列。8年ぶりの町内お行列を一目見ようと、多くの方々が早朝から標葉郷本陣や沿道で拍手と歓声をもってお出迎え。震災前のかけがえのない風景がまた一つ甦った感動の瞬間でした。その後、小高神社(南相馬市)で小高郷と合流し、本陣のある雲雀ヶ原(南相馬市)にご参陣。今年は標葉郷からの出陣ということもあり、標葉騎馬武者の方々の気合も充実しています。そして本陣にて総大将 相馬行胤(みちたね)公をお迎えし、宵乗り競馬が執り行われました。白鉢巻に陣羽織という出で立ちで古式再現の宵乗り競馬は、勇壮さや荒々しさとともに荘厳さが伝わってくる、初日のハイライトです。

翌29日は南相馬市原町区でのお行列の後、雲雀ヶ原での甲冑競馬、神旗争奪戦が執り行われました。標葉郷の騎馬武者が甲冑をまとい、旗指物をなびかせながら威風堂々と駒を進める様子や、数百の騎馬が御神旗めがけ場内を所狭しと駆け回り、最高の栄誉を勝ち取る様子は、歴史絵巻という言葉では収まらない、当時にタイムスリップしたような感覚を与えてくれます。

その後、標葉郷騎馬武者は浪江町に凱旋し、凱旋行列と中央公園で神旗争奪戦が行われました。本陣にて功を成し、名を上げてきた標葉郷騎馬武者を、誇らしい気持ちで迎える瞬間です。凱旋の口上を聞きながら、8年ぶりにお帰りなさいと思えた瞬間でした。

感慨深そうに見つめるおじいちゃん、おばあちゃん。
目を輝かせながら歓声をあげる子どもたち。
その様子を笑顔で見守るお父さん、お母さん。
たくさんの笑顔と温かい気持ちがあふれる一日となりました。

地域の宝

千年以上もの間、地域の中で大切に育まれ、継承され、紡がれてきた事柄には力が宿ります。その力を言葉で表すとすれば「歴史」や「文化」や「心の拠り所」そして「神事(かみごと)」という言葉になるのかもしれません。

沿道や祭場で、多くの方々が目を輝かせながら喝采をもって迎える様子を見ると、相馬野馬追がいかに地域の方々にとって大切なものかを伺い知ることができます。単なるイベント・祭事に留まらず、地域の方々にとって共通の宝となっている相馬野馬追を、10年後も20年後も育み続けたい。そして100年、200年先も地域にとってかけがえのないものとして継承していきたい。そんなことを考えながら、2日間、標葉郷騎馬武者に帯同させていただきました。

法螺貝の響き、騎馬の息遣い、旗指物のはためきや甲冑の摺りあう音、どよめきと歓声、砂塵の中を舞う騎馬武者の姿・・・。これから先も、相馬野馬追と共に。