眞柄まがら 正洋まさひろ さん | 双葉町

眞柄まがら 正洋まさひろ さん | 双葉町

まがら洋菓子研究所有限会社 代表取締役
出身:双葉町

いつでも駆けつけられる場所にいますから、双葉町にこれからも関わっていきたい

「欧風創作菓子 ふたば茶亭」は創業1982(昭和57)年で、双葉町で両親が始めたお店。高校は双葉高校に進学して硬式野球部で甲子園を目指し、卒業してからは、神奈川県藤沢市の洋菓子店で洋菓子の修行を積みました。そして7年ほど経ってから双葉町に戻り、両親のお店を継ぎました。双葉町に戻ったのは平成7年、26歳の時ですね。

実は震災の5年ほど前に、いわきに支店(注1)を出すタイミングで、家族でいわきに引越していました。
いわきに支店を出したのにはきっかけがあって、双葉町のスタッフが育ってきて、私がいなくても回るようになってきたこと。今の内郷店がある場所が元々ケーキ屋で、お店をやめることになったのでここでお店をやらないか、と声がかかったこと。そのタイミングがちょうど長男が小学校に上がる時期だったこと。そんな経緯があって、内郷のお店をリノベーションして、いわきでの営業が始まりました。しばらくは、双葉といわきを行ったり来たりしてやっていました。

地震が起きた時はいわきにいました。ちょうど自宅に帰ってご飯を食べて、奥さんと一休みしている時だったんです。ちょっと待て、尋常じゃない揺れだ、と。急いで奥さんは学校に、僕はお店に行って、お店にいたスタッフには帰ってもらいました。双葉町にいる親とは、すぐには連絡は取れなかったですね。
内郷店の停電は夜には回復して、次の日には断水も回復したんです。自宅の水は止まったままだったので、内郷のお店から水をくんで、生活に使う水はそこでまかないました。

震災翌日の夜に、双葉町の1F(福島第一原発)に勤めていた友達から「(原発が)やばいぞ」と電話がきたんですよ。それを聞いてすぐに、双葉からいわきに来ていた両親と家族みんなで、千葉県へ避難を始めました。夜12時に出発して、6号線をひたすら南下して、朝方に千葉の親戚の家に着きました。無事着いてニュースを見たら、(原発が爆発していて)びっくりしました。
家族はそのまま千葉に置いて、私はいわきのお店と家の様子を見に戻りました。実は3月中に、大事な物を取りに、何回か双葉町のお店や実家にも行きました。検問がありましたけど裏を通って、でも入るにはグレーな時期でしたね。

子供たちも、新学期が始まる頃にはいわきに戻っていました。でもその頃は校庭で遊んじゃいけないとか、マスクかけたりとか、色々ありましたよね。
奥さんも子供もいわきに戻って来てくれましたが、もし風向きがいわきの方に向いていたらどうなっていたかっていうのは、考えてしまいますね。

「ふたば茶亭」の復活と閉店への思い

いわきのお店は、3月25日には再開出来たんです。残ってくれたスタッフもいたんですが、このタイミングで辞めてしまう人もいて、スタッフの数でいうと半分くらいになっちゃったんです。
双葉町のスタッフもいわきに来てくれたら、働ける場所はありましたし良かったんですけど、散り散りになってしまったので。避難先から通うのも大変ですからね。

震災の年の9月、いわき市の平窪にふたば茶亭の仮店舗をオープンして(注2)、屋号はふたば茶亭なんですが、いわきのスタッフだけで営業していました。本当ならそこに、元の双葉町のスタッフも何人かいてくれたら良かったですけどね。

「ふたば茶亭 平窪店」はオープンして5年9ヶ月でクローズしましたが、本当はずっと続けていたかったですね。
平窪にお店を出す時、「グランブルー 平窪店」としてやるつもりはなくて、誰に何を言われても「ふたば茶亭」という屋号でやりたい、と考えていました。だからこそ2015年の閉店は悔しかったです。
平窪はアパートが多いこともあって、双葉郡から避難されている方に多く利用していただきました。またご年配の方も多くて、そういう方も日常的に寄って買ってくださってました。ようやく地域に馴染んできた時だったので、残念がられる声も多かったですね。

いわき店舗の再開

震災後に最初に再開したのは工場のある小名浜店で、その何日か後に内郷店を再開し
ました。小名浜店は海からは離れていたので、津波の被害はなかったんです。

▲ラトリエ グランブルー小名浜店

再開して最初の頃は、小名浜の小学校の体育館に避難されている方にお菓子を持っていったりしていました。あとは内郷の御厩(みまや)小学校には、久之浜から避難されている方がいたので、そういう所にパンや焼き菓子を持っていったり。お店も1ヶ月くらいは限定メニューという形で営業していました。

双葉町にあるお店は、建物自体は今でもそのままになっています。でも中は片付けられていないですね。これから双葉町で再開する目途も立っていませんし、住む予定もないので、掃除をする理由が持てなくて。

ふるさとゆかりのお菓子

いま販売しているお菓子に「郷里の葉パイ(ふるさとのリーフパイ)」というのがあって、葉っぱの形のパイが2枚入ってるんですよ。それは故郷、双葉町をモチーフにしたお菓子です。

郷里の葉パイ(ふるさとのリーフパイ)

また、むかし双葉のお店で作っていたケーキがあって、それを双葉のお客様に「あれないの?」って言われることもあります。そんな時には特別に作ってあげたりします。やっぱり食べたいって言われると、作ってあげたいですから。

双葉町への思い

双葉町の復興委員商業部のメンバーとして2年間くらい会議に参加させて頂いてましたけど、大熊町と比べて双葉町は遅い感じがしますね。町長が変わって政策が変わったこともありますけど、ゆっくりしている印象があって、モヤモヤしているところはあります。
双葉町もようやく海の方にアーカイブ拠点施設(注3)を作り始めるんですよね。双葉町で自分のお店を再開するというのは難しいと思うんですが、何かしらの形でお手伝いできれば。アーカイブ拠点施設にコンビニやカフェを作る計画があるので、そういうところに関われたらなと考えています。

私にとって故郷は、やっぱり大切な場所ですよね。生まれ育ったのが双葉町ですし、Uターンして8年くらいお店もやったんですよね。だからこそ関わっていきたいなって。
いわきにいますんで、いつでも駆けつけられる距離にいますから。

注1 2004年にふたば茶亭の姉妹店として「パティスリーグランブルー内郷店」(内郷御厩町)を、2005年に「ラトリエグランブルー小名浜店」(小名浜君ケ塚町)をオープン。
注2 「ふたば茶亭 平窪店」(いわき市平下平窪)は2015年5月21日に閉店。
注3 東日本大震災と東京電力福島第1原発事故の記録や教訓を国内外に発信する「アーカイブ拠点施設」を、双葉町中野地区に建設する。

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店舗情報

■パティスリーグランブルー内郷店
〒973-8402 福島県いわき市内郷御厩町1-199
TEL:0246-26-7337
HP:http://life.gurutto-iwaki.com/detail/index.cfm?cl_id=760
Facebookページ: https://www.facebook.com/patisserielegrandbleu/

■ラトリエグランブルー小名浜店
〒971-8168 福島県いわき市小名浜君ヶ塚町9-6
TEL:0246-54-8038
HP:http://www.gurutto-iwaki.com/detail/index.cfm?cl_id=1298
Facebookページ: https://www.facebook.com/latelierlegrandbleu/

■ふたば茶亭 
楽天店
https://www.rakuten.co.jp/futaba-chatei/
ヤフー店
https://store.shopping.yahoo.co.jp/futaba-chatei/
Amazon店
https://www.amazon.co.jp/s?me=AXU7EVVMUONFT
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2018年1月取材
文/写真:渡辺可奈子

浪江町