八町村現状報告:葛尾村編(1)

八町村現状報告:葛尾村編(1)

皆様、こんにちは。本日はお越し頂いてありがとうございます。司会の方がすごくいいので、空気の柔らかい中でできるのは有り難いです。ありがとうございます。
まず、この中で葛尾村に行ったことがある人はいますか。いわき市で「葛尾村出身です」と言ったら、「会津の方ですね」と言われたことがありました。なかなか 小さな村なので、存在感が少なかったりするのですが、今日は葛尾のことを皆さんに知って帰って頂ければと思いますので、ひとつよろしくお願いします。
それでは、発表に移っていきます。まず、私、下枝浩徳と申します。いま30歳で、今年31歳になります。葛尾の夏湯という、いちばん浪江に近い所で生まれました。この地域は原発から大体25キロ圏内で、全村避難中です。今年の4月に避難解除の予定です。
何をしている人かといいますと、二足の草鞋を履いておりまして、ひとつは議員秘書をやっております。もうひとつが、自分で社団法人を持っておりまして、地域コーディネーターというかたちで、各地域の活動をサポートしています。
葛尾村の、わたしのイメージは、こんな感じです。やっぱり、自然が豊かです。例えば、冬景色。(左上から順に)これは渓谷なんですけれども、雪で一面真っ白です。これは、五十人山です。ツツジなんですけれども、すごく綺麗です。村の伝統文化の芸能としては、三匹獅子。他の地域でもやっているんですけれども、双葉郡の三匹獅子の特徴は、原型をかなり残しているところが多いと聞いたことがあります。これはわたしの実家の近くなんですけれども、渓谷です。わたしも子供の頃、ここで川遊びをしたり、ダムを作ってイワナを獲ったりしていました。ほとんどが、川や渓谷だというイメージを皆さんにも知ってもらいたいなと思います。
そしてもうひとつ特徴的なのが、村の6割〜7割くらいの人が松本さんなんです。わたしのクラスで「おい、松本」と呼ぶと、半分くらいがこっち向くんです。これは、松本一族が住んでいたと言われる葛尾大尽です。正直、小さい頃は「山ばっかりで何もねえな、この村。つまんねえな」って思っていました。でも、そんな中学生のわたしをわくわくさせたのが葛尾大尽です。なぜかというと、歴史がかなり古くて、松本さん一族はもともと長野県の坂城町に住んでいて、そこで武田信玄に敗れて逃れて来たのが葛尾だという話が、葛尾の村史に載っているんです。子供の頃にその話を聞いて、俺の地域のご先祖は昔、武田信玄と戦ったんだとわくわくしました。なかなかこの村は面白いことを秘めているなと思っています。
そんな、山もあって、歴史も秘めている葛尾村が、震災でどんな被害があったかを説明していきます。(資料は)文章が多いので、ニュアンスだけお伝えします。
津波の被害で亡くなった方も当然いらっしゃいます。地震で家が壊れた方もいます。ただ、特徴的だったのは、他の町村と比べて、どちらかというと震災直後の被害よりは、その後の避難や放射能の被害を受けている方のほうが多いということが特徴です。

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