八町村現状報告:富岡町(5)

八町村現状報告:富岡町(5)

それから、減災・防災。こちらの取り組みは、福島県さんの事業になります。防潮堤、それから浜街道、防災林の多重防護により、津波被害を減災するというような構造です。ただしですね、人間は自然に勝てないので「津波がきたら逃げる」というのが鉄則です。

取り組みの最後となりますが、まちづくり会社の創設でございます。復興へのアイディアや思い、沢山ございます。これらをまず実現するためには、お金と人が必要となってきます。最初に挙げた課題「ハートの復興」をするための組織として、住民主体の実行チームが気持ちよく実行できる場ということで、このまちづくり会社の設立を考えています。

さて、クリスタキスさんとファウラーさん、この二人は「つながり」という本を出していまして、「人間がいつでもどこでもつながっているということは、一人ひとりが、自分で気づいているよりも大きな影響を他人に与えているということだ」というフレーズがあります。これは、自分の行いが三次先まで伝染するという内容を言っています。三次先は、友達の友達の友達。行動や言葉は「3次先まで影響し」、「つながりの中で伝染していく」ことになれば、我々が今行っているつながりを伝染させ、広げさせていくということも我々がやるべき仕事かなと思います。その場所です、機会です、つまり「つながる環境」が必要だと考えています。

日本人も、素晴らしい人がいますね。第9代米沢藩主の上杉鷹山公です。「心の種火をともし、火を移していく」。有名な言葉ですね。思いがある数名の藩士に、鷹山公が「お前たちの胸に燃えているその火を、心ある藩士の胸に移し、その藩士の持ち場で待っている同志たちの胸に火をつけて欲しい。その火がきっと改革の火を大きく燃え立たせるであろう」と、ともに燃やす機会を提唱し、この結果、危機的な藩政を改革したという有名な話です。まさに、この未来会議が「ともに燃やす場」であり、先に話した「つながる場」であると考えております。

先に説明した、まちづくり会社でございます。こちらは双葉郡未来会議や、青年会議所、婦人会などが思う事を実行できる、それから、繋がった我々、同志がそのアイディアを実行できる場、つまり「人の駅」の役割を担う重要な組織として立ち上げをしようとしております。住民の行政依存をまず改革して、プラットフォームを少しずつ大きくしていきながら、社会的な行動に移していくことが人の復興であると考えています。

最後になります。「どの道を選んでも」、非常にいい言葉であります。これは、二者択一ではなく、「今は判断できない」という表現ではありますが、実はもうひとつ意味がございます。復興という巨大な目標に向かう方法は何百通りもあります。その全ての道、考え方を尊重するというような意味が「どの道を選んでも」というフレーズにあります。つまり、どの選択肢を選んでも、批判したり、悪口を言ったり、それから足を引っ張んないで、その考え方を認め合いながら、復興をみんなで目指すことが、本当の復興の姿じゃないかなと考えています。

今ここにいるみんなで、妄想して、構想して、それから時には暴走して、実行して、そして色んな人を巻き込んで、前向きに明るく、元気よく、ともに復興の道を進み歩いていきましょう。よろしくお願いします。

以上、富岡町の報告でございます。ありがとうございました。

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